メンズコスメケア図鑑 運営者のシライヒロです。
普段は洋服で過ごしている私たちが、いざ着物を着たときに直面する最大の壁、それが動作の不自由さではないでしょうか。特に「着物でしゃがむ」という行為は、ズボンとは全く違う身体の使い方が求められます。「ビリッといきそうで怖い」と不安になるのは当然のことです。実際に無理な体勢をとって股割れを起こしてしまったり、トイレでの裾の扱いに困ってしまったりという失敗談は後を絶ちません。
また、袴を履いている時の座り方や、車への乗り降りなど、日常のふとした瞬間にマナーや汚れのリスクが潜んでいます。洋服なら無意識に行える動作も、着物では一つ一つが「技術」になります。しかし、その技術を身につけることこそが、着物を粋に着こなすための近道でもあります。
この記事では、着物特有の構造を理解した上で、大切な着物を守りながら美しく振る舞うための具体的なテクニックを解説します。初心者の方が抱く「壊すかもしれない」という恐怖心を払拭し、自信を持って着物で出かけられるようになるための完全ガイドです。
- 股割れや生地の破損を確実に防ぐための正しいしゃがみ方と身体操作
- 着流しや袴スタイルにおけるトイレでの裾の処理と汚れ防止の手順
- 正座や椅子、車移動などシーンに合わせた美しい所作とマナーの基本
- 現代の技術で快適さを実現するストレッチ素材やデニム着物の活用法
男が着物でしゃがむ時の構造的リスクと基本動作
洋服のズボンは足の動きに合わせて立体的に裁断・縫製されており、さらに現代の素材多くはストレッチ性を持っています。しかし、着物は基本的に「直線裁断」された平面の布を縫い合わせた筒状の構造物です。縦方向への伸縮性は皆無に等しく、足の可動域に合わせて布が伸びてくれることはありません。
この決定的な違いを理解せずに、ズボンを履いている時と同じ感覚で膝を曲げると、トラブルの原因になります。まずは、なぜ着物だとしゃがみにくいのか、その理屈を物理的な観点から知り、生地を傷めないための基本動作をマスターしましょう。
股割れ修理を避けるための裾割れ防止策
男性の着物ライフにおいて、最も恐ろしいトラブルの一つが「股割れ」です。これは、しゃがんだ拍子に背中の中心にある縫い目(背縫い)や、お尻付近の生地に過度な張力がかかり、縫い糸がブチッと切れたり、最悪の場合は生地そのものが裂けてしまったりする現象を指します。
着物は構造上、足を左右や前後に開くと裾周りの円周が足りなくなります。その状態で無理にしゃがみこむと、逃げ場を失った力が全て背縫いの尻付近や脇の縫い止まりに集中してしまうのです。一度股割れを起こすと、単なる縫い直しでは済まないことが多く、専門店での「かけつぎ」や「寸法直し」といった高度な修理が必要となり、数千円から場合によっては1万円以上の出費となってしまいます。
この悲劇を防ぐための鉄則は、動作の前に布の逃げ道を作る、すなわち「手動で裾のテンションを解除する」ことです。いきなり腰を落とすのではなく、以下の手順を無意識レベルでできるようになるまで練習してください。
股割れを防ぐ具体的プロセス

ただ漫然としゃがむのではなく、以下の2つのステップを踏むことで、リスクを劇的に軽減できます。
ステップ1:上前(うわまえ)の引き上げ
これが最も重要です。右手を右太ももに沿って下ろし、着物の一番外側の布(上前)の端(褄・つま)を軽く掴みます。そのまま、太ももに沿わせるようにして数センチ〜10センチ程度、上に引き上げてください。この動作により、裾周りの円周が実質的に広がり、物理的に足を開くための余裕が生まれます。これを怠ると、膝を曲げた瞬間に背縫いに致命的な負荷がかかります。
ステップ2:足の配置(スタンス)の調整
両足を平行に揃えたまましゃがむと、膝が前方に突き出し、着物の前合わせが大きく割れてしまいます。これを防ぐために、片足を半歩後ろに引く体勢をとります。剣道や相撲で見られる「蹲踞(そんきょ)」に近い形です。後ろ足の踵を浮かせ、前足に体重を乗せつつ、垂直に重心を落とすことで、お尻部分の生地への突っ張りを最小限に抑えることができます。
さらに、緊急時や動きの激しい場面が予想される場合は、着付けの段階で「股割り」をしておくという裏技もあります。着付けが完了した後、足を肩幅より広く開き、四股(しこ)を踏むように腰を落とす動作を数回行います。これにより、着物と長襦袢が身体の動きに馴染み、あらかじめ必要な「ゆとり」が形成されます。ただし、やりすぎると着姿が崩れてだらしない印象になるため、加減が必要です。
プロの視点:
しゃがむ時は「筋肉で動く」のではなく「布に合わせて動く」感覚を持つことが大切です。布が突っ張ったら、それ以上無理に動かず、一度立ち上がって布を整え直す勇気も必要です。
裾の汚れを防ぐための着物の扱いと所作

しゃがむ動作には、破損だけでなく「汚れ」のリスクも伴います。特に屋外で靴紐を結び直したり、子供の目線に合わせて話をしたり、あるいは写真を撮るためにしゃがむ際などは、地面の状態に細心の注意が必要です。アスファルトの砂埃、雨上がりの泥ハネ、公園の芝生など、着物にとって敵だらけです。
まず意識すべきは袖(袂・たもと)の処理です。洋服生活では忘れがちですが、男性の着物の袖は地面に届くほど長く垂れ下がります。無防備にしゃがむと、袖の底が地面を掃除することになり、一瞬で黒ずんでしまいます。しゃがむ動作に入る前に、必ず左手(または非利き手)で左右両方の袖口をまとめて持ち、膝の上に抱えるようにするか、自身の胸元に寄せて確保してください。
完全にしゃがまない「腰割り」の美学
物を拾う程度であれば、完全にしゃがみ込むのではなく、「腰割り」の動作を応用するのがスマートです。これは、片足を大きく一歩踏み出し、上体を立てたまま腰を落とす動作です。完全に地面にお尻を近づけるわけではないので、後ろ裾が地面につくリスクを回避できます。
しかし、どうしても深くしゃがむ必要がある場合は、後ろ裾の管理が必須です。深く腰を落とすと、着物の後ろ裾が地面に接触しやすくなります。必要であれば、空いている右手で後ろの布もわずかにたくし上げるか、足のふくらはぎに挟み込むようにして接地を防ぐテクニックを使います。これは、袴を履いていない「着流し」スタイルの時に特に有効です。
注意点:
雨の日や水たまりがある場所では、しゃがむこと自体を極力避けるべきです。泥は一度繊維に入り込むと、プロのクリーニングでも完全に落とすのが難しい場合があります。
袴でのしゃがみ方と裾捌きの技術

袴(はかま)は足が動かしやすく、活動的なイメージがありますが、実は構造上、非常にデリケートな衣服です。不用意にしゃがむと、袴の命である「ヒダ(プリーツ)」が崩れて修復不能なシワになったり、脇の「投げ」と呼ばれるスリットから中の着物や下着が見えてしまったりするリスクがあります。
また、袴には大きく分けてスカート状の「行灯袴(あんどんバカマ)」と、ズボンのように股が分かれている「馬乗袴(うまのりバカマ)」があります。特に馬乗袴は、股部分に「マチ」が存在しますが、このマチの位置は一般的なズボンよりも低い位置にあります。そのため、足を左右に広げすぎるとマチ部分に強烈な負荷がかかり、裂ける危険性があるのです。
袴捌き(はかまさばき)の手順
袴を美しく保ちながらしゃがむためには、「袴捌き」という所作が不可欠です。
- ヒダを流す: しゃがむ直前、両手を太ももの側面に沿わせ、袴の左右の膨らみを軽く後ろに流すように撫で下ろします。これにより、袴の布が膝に引っかかるのを防ぎ、美しいシルエットを維持できます。
- 前を持ち上げる: 袴の前紐の下あたり(前布の中心)をわずかに持ち上げることで、膝を曲げた時の突っ張り感を解消します。
武道の知恵「蹲踞(そんきょ)」の活用
袴着用時に最も理にかなったしゃがみ方は、剣道や弓道などの武道で見られる「蹲踞(そんきょ)」の姿勢です。
- つま先立ちになり、両踵を合わせます。
- 膝を左右に開きながら、踵の上にゆっくりとお尻を乗せます。
- 上体は前傾させず、垂直に保ちます。
この姿勢のメリットは、上体が起きているため袴の腰板(背中の硬いパーツ)が浮かず、着崩れしにくいことです。また、膝を左右に開くことで、袴のマチへの負荷を分散させることができます。袴姿で写真を撮る際や、待機する際などは、ベタ足でしゃがむのではなく、この蹲踞のスタイルを取り入れると、非常に玄人っぽく、かつ機能的です。
正座のマナーと楽な座り方のコツ
和室での正座は、着物にとって最も合理的で崩れにくい座り方とされています。帯の結び目や着物の合わせが、正座の姿勢を前提に設計されていると言っても過言ではありません。しかし、ただ座れば良いというわけではなく、座るプロセスに美しさと機能性が宿ります。
座る瞬間のコツは、右手で着物の上前を少し引き、膝の下に巻き込むようにして座ることです。こうすることで、裾が乱れず、足袋と着物の間の素肌(すね毛など)が見えてしまうのを防げます。座った後は、両手を膝の上に置き、背筋を伸ばします。この時、長い袖は膝の上に重ねて置くようにしましょう。畳の上に無造作に袖を投げ出すと、他の人の足が当たったり、お膳の料理がついたりするリスクがあるからです。
あぐら(安座)のリスク管理
長時間の正座がつらい場合、親しい間柄やカジュアルな席であれば、男性の着物では「あぐら(安座)」も許容されます。しかし、そのまま無防備にあぐらをかくと、裾が大きく割れて足(脛や太もも)が丸見えになり、非常に無作法でだらしない印象を与えてしまいます。
あぐらをかく際は、以下の手順で「隠す」技術を使ってください。
- まず正座の状態から膝を崩します。
- 着物の上前(前裾)を右手で持ち、十分に引き出します。
- 引き出した布で、膝頭から足全体を覆うように隠しながらあぐらをかきます。
袴を履いている場合は比較的あぐらでも足が見えにくいですが、やはり前布を整えてから座るのが大人のマナーです。「見せない美学」を意識することで、リラックスした姿勢でも品格を保つことができます。
椅子に座る際の「浅座り」の法則
現代生活では椅子に座るシーンの方が多いでしょう。この時、深く腰掛けて背もたれに寄りかかると、帯の結び目(貝の口など)が潰れて緩んでしまいます。また、背中の摩擦で着物がずり上がり、衿元が詰まって苦しくなる原因にもなります。
椅子に座る際は、「浅く座り、自立する」のが正解です。背もたれには寄りかからず、骨盤を立てて座ります。こうすることで帯を守り、着姿も美しく見えます。どうしても疲れて寄りかかりたい場合は、お尻を少し前にずらし、帯の結び目が背もたれに当たらないよう空間を作る工夫が必要です。
動作後の着崩れ直しの重要ポイント
どれほど注意深く動いても、しゃがんだり座ったりすれば、布の位置がずれ、多少なりとも着崩れは起きます。重要なのは「絶対に崩さないこと」を目指すのではなく、「崩れてもその場ですぐに直せる技術」を持つことです。
立ち上がったら、無意識に衣服を整える仕草ができるようになれば一人前です。以下の3点をさりげなくチェックする「リカバリー・ルーティン」を身につけましょう。
立ち上がった後の3点チェック・リカバリー
- 1. 衿元(えりもと)の確認
- 座っている間に衿が詰まったり、緩んで胸元がはだけていないか確認します。長襦袢の衿と着物の衿のバランスを整えます。もし詰まっているなら、後ろのおはしょり(帯の下)を軽く引いて調整します。
- 2. 帯の位置修正
- 座ったりしゃがんだりすると、帯は必ず上にずり上がってきます。男性の帯は「腰骨(腸骨)」で締めるのが最も粋でカッコいい位置です。親指を帯と着物の間に差し込み、グッと下腹部へ押し下げて、重心の低い位置に戻しましょう。帯が上がると子供っぽく見えてしまいます。
- 3. 裾(すそ)の巻き直し
- しゃがむ動作で最も乱れるのが裾です。裾が広がったままだとだらしない印象になります。これを直すには、一度上前をめくり、下前(内側の布)の端(褄)を右手で持ち、グッと右腰骨の方へ引き上げます。これにより下半身への巻き付きを強化します。その後、上前を被せ直し、同様に少し引き上げ気味に整えます。これで美しい「裾すぼまり」のラインが復活します。
男が着物でしゃがむシーン別の対処法と便利グッズ
ここからは、多くの男性が着物着用時に頭を抱える「トイレ」や「車移動」といった、より実践的で失敗の許されないシーンでの具体的な対処法と、それをサポートする便利なアイテムについて解説します。これらのシーンは「知っているか知らないか」だけで、快適さとリスクが天と地ほど変わります。
男の着物におけるトイレの仕方と手順
「着物でトイレはどうするの?」というのは、初心者の方から最も多く寄せられる、かつ最も切実な疑問です。結論から言えば、慣れればそれほど難しくありませんが、手順を間違えると悲惨なことになります。基本的には、汚れのリスクを最小限にするため、洋式トイレを使用することを強くおすすめします。
「小」の場合のプロセス
男性の場合、立位での用足しは比較的容易です。
長着(着流し)のみであれば、上前と下前をガバッと大きくまくり上げます。この時、片手で布を押さえ続ける必要がありますが、不安な場合は裾の端を帯の上端に挟み込んで固定すると両手が使えます。
袴の場合は少し複雑です。袴にはサイドに「投げ」や「相引(あいびき)」と呼ばれるスリットがありますが、ここから手を入れて中の着物を操作するのは至難の業です。基本的には、袴の裾を片足ずつ持ち上げるか、袴全体をたくし上げるのが最も安全で確実です。十分な広さがあるトイレなら、袴の裾を腰まで上げてしまうのが無難でしょう。
「大」および個室での完全防備プロセス
個室に入る場合は、着物が便器や床に触れないよう、厳重な管理が必要です。以下の手順をマスターしてください。
| ステップ | 動作の詳細 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 袖の処理 | 袖が床につかないよう、左右の袖を前で結ぶか、袖の端を帯に挟み込みます。 | 最も忘れやすく、最も汚しやすいポイントです。 |
| 2. 一括まくり上げ | 着物、長襦袢、肌着を一枚ずつではなく、「全ての層を一括して」裏返すように腰まで一気に引き上げます。 | ミルフィーユのように重なった布をまとめて持つイメージです。 |
| 3. 固定 | 引き上げた布の束を、顎の下で挟むか、クリップで帯や襟に固定します(後述)。 | ここで固定が甘いと、用足し中に背面が垂れてきます。 |
| 4. 下着の処理 | 最後にステテコや下着を下ろします。 | この順序を守ることで、着物が下着の中に入るのを防げます。 |
用を足した後は、逆の手順で戻します。下着を上げ、着物の固定を解いて下ろします。この時、長襦袢、着物の順に整え、最後に背中の中心(背縫い)がずれていないか、帯がめくれ上がっていないかを手で触れて確認することを忘れないでください。
警告:和式トイレについて
和式トイレは「完全なしゃがみ」が必要となるため、前垂れが便器内に入るリスクや、裾が床につくリスクが極大化します。物理的に非常に難易度が高く、失敗した時のダメージが計り知れないため、緊急時以外は意地でも回避するのが賢明です。
トイレで役立つ着物クリップの活用

トイレの際、まくり上げた着物を手や顎で押さえ続けるのは非常にストレスがかかりますし、動作も制限されます。そこで着物男子の必須アイテムとなるのが「着物クリップ」です。
これは着付けの際に使うクリップですが、トイレの際の「第三の手」として絶大な威力を発揮します。帯に常に1〜2個忍ばせておくか、袂(たもと)に入れて持ち歩くことを強く推奨します。
クリップの具体的な使い方
- 着物と長襦袢を腰までまくり上げます。
- まくり上げた背中側の布の中央を、帯の結び目や襟にクリップでガッチリと挟んで固定します。
- 必要であれば、左右の袖も背中側でまとめてクリップで留めます。
これだけで両手が完全に自由になり、安心して用を足すことができます。100円ショップで売っている大きめの洗濯バサミでも代用可能ですが、着物専用のクリップは挟む力が強く、かつ生地に接する部分にゴムがついているため、大切な着物を傷めません。数百円〜千円程度で購入できるので、一つ持っておくと世界が変わります。
車の乗り降りで裾を汚さない手順
現代社会では車移動も頻繁に発生します。車への乗り降りは「深くしゃがむ」動作と「座る」動作の複合であり、着物にとっては難所の一つです。ドアを開けて、いつも通り足を突っ込んで乗り込もうとすると、股を大きく開くことになり股割れのリスクがあるほか、裾がドアの枠やタイヤ周りの汚れを拭き取ってしまうことになります。
スマートで安全な乗車手順は以下の通りです。
着物での正しい乗車ステップ
- お尻から座る: 車のシートに背を向け、まずは足を入れる前にお尻から浅く腰掛けます。この時、袴の場合は後ろ側を少し持ち上げて、自分のお尻で踏んで引っ張ってしまわないようにします。
- 回転して入る: 両足を揃え、身体を回転させるようにして車内に足を引き入れます。足を一本ずつ開いて入れるのはNGです。
- 整える: 中に入ったら、裾を整え、帯が潰れないよう浅めに座り直します。
降りる時はこの逆の手順です。まず両足を揃えて外に出し、地面に足をつけてから、お尻を上げて立ち上がります。この「お尻から入り、回転する」動作は、着崩れを防ぐだけでなく、非常にエレガントで洗練された所作に見えるので、ぜひ実践してみてください。
動きやすい着物ストレッチ素材の魅力
ここまで「所作」や「技術」による解決策をお伝えしてきましたが、そもそも「動きにくい着物」を選ばないという選択肢も、現代には存在します。伝統的な正絹(シルク)の着物は素晴らしいですが、アクティブな現代人の生活には合わない場面もあります。
そこで注目したいのが、ポリエステルやジャージ素材で作られた「ストレッチ着物」です。これらは洋服のスポーツウェアに近い伸縮性を持っており、しゃがんだ時の突っ張り感が劇的に軽減されています。生地自体が伸び縮みするため、「股割れ」のリスクも限りなくゼロに近く、まるでジャージを着ているかのような感覚で動くことができます。
また、これらの素材は自宅の洗濯機で洗える「ウォッシャブル着物」であることがほとんどです。万が一、しゃがんだ拍子に裾が泥で汚れてしまっても、帰宅してネットに入れて洗濯機に放り込めば元通りです。この精神的な気楽さは、着物初心者にとって何物にも代えがたいメリットと言えるでしょう。
デニム着物ならしゃがむ動作も快適
ファッション性と実用性を兼ね備えた選択肢として、「デニム着物」も非常に人気があります。その名の通り、ジーンズと同じデニム生地(綾織り木綿)で作られた着物です。
デニム着物の最大の利点は、その「圧倒的な耐久性」です。一般的な絹の着物に比べて生地が厚手で丈夫なため、多少ラフに扱っても破れる心配がありません。しゃがむ動作で多少生地が引っ張られても、デニム特有の強さが受け止めてくれます。また、重みがあるため、しゃがんだ後に裾がめくれ上がりにくく、落ち感(ドレープ)が良いのも特徴です。
さらに、デニムなのでシワすらも「味」になります。しゃがんで膝裏にシワができても、それが着慣れた雰囲気(こなれ感)を演出してくれます。カジュアルな街歩きや、居酒屋での飲み会、アウトドアイベントなど、汚れや破損を気にせずアクティブに楽しみたいシーンでは、伝統的なルールに縛られすぎないデニム着物が、最強の相棒になってくれるはずです。
男が着物でしゃがむための極意とまとめ

着物でしゃがむという行為は、単に膝を曲げるだけの動作ではありません。それは、伸縮しない「布」と、自由に動きたい「身体」との対話でもあります。一見すると不自由で面倒に感じるかもしれませんが、この「不自由さ」を所作という技術でカバーし、制御することにこそ、和装特有の奥深いカッコよさが宿ると私は思います。
「股割れしないように裾を引き上げる」「汚さないように袖を抱える」といった一連の動作は、側から見れば非常に丁寧で、物を大切にする大人の男性としての品格を感じさせます。
一方で、無理をして着物を嫌いになってしまっては本末転倒です。現代のライフスタイルに合わせて、トイレではクリップを活用したり、動き回る日はストレッチ素材を選んだりといった「逃げ道」や「文明の利器」を賢く使うことも重要です。
「壊さないための所作」と「便利なツールや素材」、この両方の知識を持っていれば、もう着物で出かけることを躊躇する必要はありません。今日覚えたテクニックを武器に、ぜひ自信を持って、アクティブな着物ライフを楽しんでください。
