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男の着物の丈が短い?目安と対処法を解説【ブーツ・袴・リメイク】

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こんにちは。運営者の「シライヒロ」です。せっかく気に入って手に入れた着物をいざ自宅で羽織ってみたら、思っていたよりも丈が短くて「あれ、これ着られないかも…」と焦った経験はありませんか。私自身も古着屋で一目惚れした着物が、実際に着てみるとツンツルテンで愕然としたことが何度もあります。

男の着物は女性の着物とは違って「おはしょり」を作らない「対丈(ついたけ)」という構造で着るため、サイズ選びや着付けの調整が実はものすごくシビアなんですよね。特にネットで購入した既製品や、リサイクルショップで見つけた一点物の中古着物だと、現代人の身長に対して丈が足りないというケースが本当によく起こります。

でも安心してください。丈が短いからといって、その着物を着られないとすぐに諦める必要はありません。この記事では、男性の着物の正しい丈の目安といった基礎知識から、腰紐の位置を工夫するだけで数センチ稼ぐ着付けのコツ、ブーツや袴を使ってあえて短さを活かすおしゃれなリカバリー方法、さらには作務衣などへのリメイクまで、幅広く紹介していきます。

  • 男の着物は「対丈」という構造上サイズ調整が難しい理由
  • 身長や体型から割り出す適正な着丈の計算方法と確認ポイント
  • 丈が短い着物をうまく着こなすための着付けテクニックとコーディネート術
  • どうしても着られない着物を無駄にしないためのリメイクアイデア
目次

男の着物で丈が短い原因と判断基準

まずは、なぜ「丈が短い」という現象が起きてしまうのか、その根本的な原因と、そもそもどのくらいの長さが「正解」なのかという基準について詳しく見ていきましょう。これを知ることで、手持ちの着物が本当に着られないレベルなのか、まだ工夫の余地があるのかを冷静に判断できるようになります。

男の着物の丈の目安はくるぶし

男性の着物を着る際、最も基本となる丈の長さの目安は「足のくるぶし」です。鏡の前に真っ直ぐ立った時、着物の裾がくるぶしに触れるか、あるいは隠れるくらいの長さが理想的とされています。

短すぎる場合のリスク

男 着物 丈 短いもし、裾がくるぶしよりもはるかに上で、すね毛や下着のステテコが完全に見えてしまっている状態だと、どうしても「つんつるてん」で子供っぽく、野暮ったい印象を与えてしまいます。

特に階段を登る際や椅子に座った際にはさらに裾が上がるため、立っている状態でくるぶしが見えていると、動いた時にはふくらはぎまで露出してしまう可能性があります。

 

長すぎる場合のリスク

逆に長すぎて足の甲にダボっと乗ってしまうのも問題です。これは「裾を引く」状態に近く、だらしなく見えてしまうだけでなく、歩くたびに裾を踏んでしまったり、地面の汚れを拾ってしまったりする原因になります。

ただし、これはあくまで基本の「礼装」やきちんとした「街着」としての基準です。最近ではカジュアルなシーンであえて短めに着こなすスタイルもありますが、初心者のうちはまず「くるぶしが隠れるライン」を正解の基準として覚えておくと間違いありません。

対丈とは?構造とサイズ感の違い

ここで少し専門的な話をしますが、男性の着物が女性の着物と決定的に違うのは「対丈(ついたけ)」という仕立て構造です。女性の着物は身長よりもかなり長く作られていて、腰の部分で余分な布を折り畳んで「おはしょり」を作ることで、着用時に長さを自由に調整できますよね。

一方で、男性の着物は基本的にこの「おはしょり」を作りません。自分の身長に合わせたジャストサイズで仕立てて、そのままガウンのようにストンと着るのが基本です。これを「対丈」と呼びます。温泉旅館の浴衣をイメージしてもらうと分かりやすいですね。あれも腰で折り返したりしませんよね。

なぜ男性はおはしょりがない?
歴史的には江戸時代前期までは男女ともに対丈でした。その後、女性の着物は室内での優雅さを求めて長く引きずるスタイル(引きずり)が流行し、外出時にそれをたくし上げたのが「おはしょり」のルーツです。対して男性は、社会的な活動性や機能性を重視したため、古来のシンプルな対丈スタイルが維持されたと言われています。

この「後から調整する余地がない」構造こそが、男性着物のサイズ選びを難しくしている最大の要因なんです。数センチの誤差が、そのまま見た目の違和感に直結してしまうのです。

身長別サイズ感と計算式をチェック

では、自分の身長に対してどれくらいの着丈(身丈)があれば良いのでしょうか。一般的に使われている計算式を紹介します。これから着物を買う時や、手持ちの着物をメジャーで測る時の参考にしてください。

男着物の身丈算出の目安(計算式)

  • 標準体型の人:身長 - 27cm
  • 細身の人:身長 - 30cm
  • 恰幅が良い人:身長 - 25cm

例えば、身長175cmの標準体型の男性なら、
175 - 27 = 148cm
程度の身丈が必要ということになります。

ここで非常に重要なのが、「背中心(せちゅうしん)」から測った長さであるということです。背中心とは、首の付け根にある骨(第七頸椎)のあたりです。肩の山から測った長さ(肩身丈)とは異なるので注意してください。この計算式を知っておくと、ネット通販や古着屋さんで「身丈」の表記を見た瞬間に「あ、これは自分には3cm足りないな」と判断できるようになります。

中古の男着物は丈が短い傾向がある

リサイクルショップやネットオークションで、素晴らしい柄の大島紬や結城紬が驚くような安値で売られているのを見かけたことはありませんか?でも、いざサイズ詳細を見ると「身丈135cm」など、現代の成人男性には明らかに短いものが多いんですよね。

これは単純に、その着物が作られた昭和期以前の日本人男性の平均身長が、現代よりも低かったことが主な理由です。例えば、産業技術総合研究所の資料によると、明治中期の男子学生の平均身長は約158.5cmであったという記録があります(出典:産業技術総合研究所『人体寸法の変化と時代の変遷』)。

リユース市場に出回っているヴィンテージ着物の多くは、当時の身長160cm~165cm程度の方に合わせて仕立てられたものが中心です。生地や柄がどれほど魅力的でも、物理的に布が足りないため、身長170cm以上の方がこれらを普通に着ようとすると、どうしても丈が短くなってしまうのです。これは「良いものだから」と無理して買ってしまう前に、冷静に確認したいポイントです。

肥満体型も丈不足の原因になる

もう一つ見落としがちなのが、体重や体格による影響です。「計算上、身長に対して身丈は合っているはずなのに、着てみるとくるぶしが見えてしまう」という場合は、お腹周りや身体の厚みに生地が取られている可能性が高いです。

着物は平面的な布を立体的な身体に巻き付ける衣服です。お腹が出ていると、その分だけ布が横方向(身幅)に取られるだけでなく、お腹の山を越えるために縦方向にも物理的に持ち上げられてしまいます。これを業界用語で「身幅による丈の上がり」と呼んだりします。

サイズ選びの注意点
恰幅の良い方や筋肉質の方は、標準的な身長ベースの基準(身長-27cm)で選ぶと前裾が持ち上がって短く見えてしまいます。お腹周りが気になる方は、さらに長めの丈(身長-25cm程度)を選ばないと、美しい着姿になりません。

男の着物で丈が短い時の対処法

原因がわかったところで、ここからは具体的な解決策の話をしましょう。「手持ちの着物が短いけれど、どうしても着たい!」「形見分けで頂いた着物を活用したい」という場合に試せるテクニックを、難易度やスタイルの好みに合わせていくつか提案します。

腰紐の位置を下げて着付ける

一番手軽で、お直し代などのコストもかからず今すぐ試せるのが「腰紐の位置」を調整する方法です。これを私は「Low-Rise(ローライズ)戦略」と呼んでいます。

通常、男性の着付けでは腰紐を「腰骨の上あたり」で締めますが、着丈が短い場合は、この位置を可能な限り下げてみてください。骨盤(腸骨)の上部や、腰骨の出っ張りに引っ掛けるようなイメージで、ギリギリまで低い位置で着付けます。

こうすることで、2〜3cm程度なら裾のラインを物理的に下げることができます。たかが数センチですが、くるぶしが見えるか隠れるかの境界線では、この差が見た目の印象を大きく左右します。

ローライズ着付けの注意点

  • 着崩れのリスク:位置が低すぎると、歩行時の足の動きで紐がズレやすくなります。しっかりとした帯(角帯)で上から固定することが重要です。
  • 見た目のバランス:あまりに下げすぎると、いわゆる「腰パン」状態になり、足が短く見えたり、品位を損なったりする恐れがあります。鏡で全身のバランスを確認しながら調整しましょう。

男着物にブーツを合わせる書生スタイル

もし腰紐の調整だけでは隠しきれないほど短いなら、発想を転換して「あえて短く着る」スタイルに挑戦してみてはいかがでしょうか。ここで活躍するのが「ブーツ」です。

明治・大正時代の書生さんをイメージした「和洋折衷(わようせっちゅう)」のスタイルですね。着物の裾が短くて足首が見えてしまうなら、そこをブーツの筒で覆ってしまえばいいのです。これなら「丈が短い」というネガティブな要素を、ファッションとしてのポジティブな個性に変換できます。

ブーツスタイルのメリット

  • 着丈の短さが「サイズミス」ではなく「意図的なおしゃれ」に見える。
  • 足首やすね毛が隠れるので清潔感を保てる。
  • 草履や雪駄よりも歩きやすく、冬場は防寒性も高い。

おすすめのブーツ選び

着物に合わせるブーツは、脱ぎ履きのしやすさとデザインの相性が重要です。おすすめは以下の2タイプです。

  • サイドゴアブーツ:紐がなくスッキリしており、和装との親和性が非常に高いです。脱ぎ履きも楽なので、お座敷に上がる際もスムーズです。
  • 編み上げブーツ:レトロな雰囲気を強く出したい場合に最適です。ただし、紐を結ぶ手間があるため、脱ぐ機会が多い日には不向きかもしれません。

なお、これはあくまでカジュアルな街着としての楽しみ方です。結婚式や茶会などのフォーマルな場ではマナー違反となるので、TPOには十分に気をつけてください。

男着物と袴を合わせて丈を隠す

「短い着物をきちんとした場所で着たい」あるいは「ブーツなどのモダンな装いはちょっと抵抗がある」という方には、袴(はかま)を合わせるのが最強かつ最終的な解決策です。

袴を履いてしまえば、その下にある着物が膝丈であろうと、くるぶし丈であろうと、外部からは一切分かりません。実際、武道用や袴を履くことを前提とした「袴下着物(はかましたきもの)」という製品は、足さばきを良くするために最初から膝くらいの長さに短くカットされています。

袴さえあれば、丈の足りない着物も立派な礼装(素材や紋によりますが)や、格式あるトラディショナルなスタイルとして蘇らせることができます。袴の着付けを覚える必要はありますが、着丈不足を完全に「無効化」できるという意味では、最も確実な方法と言えるでしょう。最近はポリエステル製の扱いやすい袴も数千円から手に入ります。

作務衣やアロハシャツへのリメイク

最後に、着物として着ることを諦め、生地の価値を活かして現代のライフスタイルに合った別の衣服に作り変える「リメイク」という選択肢です。特に、虫食いやシミはないけれど丈だけが足りない上質な正絹(シルク)の着物などは、ハサミを入れて再生させるのもサステナブルで素敵な選択です。

リメイクの種類 特徴とメリット 費用感の目安
作務衣(さむえ) 上衣とズボンの二部式になるため、着丈の問題が完全に解消されます。部屋着や作業着として非常に実用的です。 5,000円~
アロハシャツ 日本の着物地で作るアロハは「和柄シャツ」として夏場のファッションに最適。正絹の涼しさを肌で感じられます。 9,000円~
羽織(はおり) 着物の上に羽織るジャケットです。着物よりも身丈が短くて済むため、寸法直しが比較的容易です。 20,000円~

特に「着物アロハ」は海外でも人気があり、和柄の美しさを日常的に楽しめるアイテムとして定着しています。自分でリメイクする手順を解説した動画もYouTubeなどでたくさん公開されていますし、ミシンが苦手な方は専門店にオーダーすることも可能です。タンスに眠らせておくよりは、形を変えてでも愛用してあげる方が着物にとっても幸せかもしれません。

男の着物で丈が短い問題の解決策まとめ

今回は「男 着物 丈 短い」という多くの男性が直面する悩みについて、その原因から具体的な解決策まで紹介してきました。対丈という構造上、どうしてもサイズ選びはシビアになりますが、工夫次第で楽しめる幅は広がります。

最後に、今回の記事の重要ポイントをまとめておきます。

  • 男性着物の基本は「対丈」。適正サイズは「身長-27cm」が目安。
  • 肥満体型や筋肉質な人は、お腹で布が持ち上がる分だけ長めの丈が必要。
  • 少し短い程度なら、腰紐を低く締める「ローライズ着付け」でカバーできる。
  • 大きく足りない場合は、ブーツを合わせてレトロモダンに楽しむか、袴で完全に隠すのが正解。
  • どうしても着られない場合は、作務衣やアロハシャツへのリメイクも検討する。

サイズが合わないからといって、素敵な着物をタンスの肥やしにしてしまうのはもったいないです。自分のスタイルや用途に合った方法を見つけて、ぜひ自由な発想で着物ライフを楽しんでくださいね。

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