着物の下はパンツ履かない男が正解？現代の下着事情とトイレ対策

こんにちは、メンズコスメケア図鑑 運営者の「シライヒロ」です。

和装に挑戦しようとしたとき、ふと「着物の下って何を履けばいいんだろう」と疑問に思ったことはありませんか。検索窓に「着物 パンツ 履かない 男」と打ち込んで答えを探しているのは、あなただけではありません。実は、着物の構造は洋服とは全く異なるため、普段通りのボクサーパンツでは蒸れたり、ゴムの締め付けが気になったりすることがよくあります。かといって、本当に何も履かない状態で出かけるのは、衛生面やマナーの観点から不安が残るのも事実です。この記事では、ユニクロなどの身近なアイテムを使った代用術や、最も心配なトイレの仕方、そして浴衣が透けるのを防ぐ方法など、現代の男性が知っておくべき着物の下着事情について詳しくお話しします。

• 現代における着物の下着の最適解と選び方
• 着物を汚さず快適に過ごすためのインナー活用術
• 袴や着流しスタイルでのスムーズなトイレの手順
• 階段や強風で裾がめくれた時の露出防止マナー

着物のときはパンツを履かない男の歴史と実情

「着物の下はノーパンが基本」という説を耳にしたことがあるかもしれませんが、それは現代のライフスタイルにおいて必ずしも正解とは言えません。着物という衣服自体が持つ長い歴史の中で、日本人の下着に対する価値観は劇的に変化してきました。ここでは、歴史的な背景を振り返りつつ、現代の衛生観念や着物の保護という観点から、なぜ下着を履くことが推奨されるのか、その実情を深く掘り下げていきます。

江戸時代の褌文化と現代の下着事情の比較

歴史を振り返ると、確かにかつての日本男性は、現代のような「パンツ」を履く習慣を持っていませんでした。私たちの祖先が暮らしていた江戸時代までの庶民にとって、下着といえば褌（ふんどし）が一般的でした。特に、活動的な職人や飛脚などは、仕事中に着物の裾を帯に挟む「尻端折り（しりはしょり）」をして、褌姿で街を闊歩することが日常的な光景でした。

当時主流だったのは、布を腰に巻きつけて股を通す「六尺褌」や、より簡易的な「越中褌」です。これらは、高温多湿な日本の気候において、股間の通気性を確保し、皮膚病を防ぐために極めて合理的な下着でした。つまり、当時の感覚では「着物の下は褌」が常識であり、現代的なブリーフやトランクスのような「お尻全体を覆い隠す布」は存在しなかったのです。

しかし、明治維新以降、状況は一変します。西洋文化の流入とともに、政府は近代国家としての体裁を整えるため、「裸体禁止令」や「違式詿違条例（いしきかいいじょうれい）」といった法令を出し、公衆の面前での裸体に近い格好を取り締まるようになりました。これにより、褌姿で出歩くことは「恥ずかしいこと」「野蛮なこと」という新しい価値観が植え付けられていったのです。さらに、戦後の洋装化に伴い、ブリーフやトランクス、ボクサーパンツといった西洋式の下着が急速に普及しました。現代においては、日常的に褌を締める人は愛好家などの少数派となり、体にフィットするパンツを履くことが「当たり前の衛生習慣」として定着しています。このため、「着物＝履かない」という図式は、あくまで過去の文化的な事実であり、現代の都市生活や衛生感覚でそのまま実践するには、精神的にも物理的にも少しハードルが高いと言えるでしょう。

ノーパンのメリットと着物が汚れるリスク

あえて「履かない」あるいは「褌にする」ことには、確かに通気性が良く涼しいという、何物にも代えがたい大きなメリットがあります。着物は帯を使って腰回り（特に丹田のあたり）をしっかりと締める構造になっています。そこにさらにゴムの入ったボクサーパンツを履くと、帯の締め付けとパンツのゴムが重なり、血流が悪くなったり、苦しさを感じたりすることがあるのです。また、下着のラインが表に響かないため、お尻周りのシルエットがストンと落ちて美しく決まるという、着こなし上の利点も見逃せません。

しかし、現代生活において完全に何も履かないことには、無視できない大きなリスクが伴います。最大の懸念は、あなたの大切な「着物へのダメージ」です。現代人は冷暖房の効いた室内と高温多湿な屋外を行き来するため、知らず知らずのうちに汗をかいています。もし下着を履いていなければ、お尻や太ももの汗、皮脂汚れ、そして排泄後のわずかな汚れなどが、直接着物の裏地や長襦袢に付着することになります。

特に、正絹（シルク）で作られた高級な着物は、水洗いができないものがほとんどです。汗ジミを放置すると、時間の経過とともに酸化して黄色く変色（黄変）してしまい、これを修復するための「染み抜き」や「洗い張り」には、数千円から数万円という高額なメンテナンス費用がかかります。また、現代社会では、椅子に座ったり、電車に乗ったり、階段を上ったりと、着物の裾が割れやすい動作を頻繁に行います。万が一、強風などで裾がめくれ上がった際に、中身が丸見えになってしまえば、単なる恥ずかしいハプニングでは済まされず、公然わいせつ等の社会的なトラブルに発展する可能性すらあります。

大切な着物を長く美しい状態で着続け、かつ社会人としてのマナーを守るためにも、汗や汚れを受け止める「最後の砦」としてのインナー着用は、現代においては必須のマナーと考えたほうが良いでしょう。

快適なステテコや裾よけが推奨される理由

では、ボクサーパンツの不快感を解消しつつ、着物を守るためには何を履くのが正解なのでしょうか。多くの着物愛好家や呉服店が推奨し、現代における標準装備とされているのが「ステテコ」です。ステテコといっても、お父さんが家で履いているような厚手のメリヤス生地のものではなく、和装用に特化した機能的なものが存在します。これらは膝下まであるズボン下のような形状をしており、着物ライフを劇的に快適にしてくれる「縁の下の力持ち」です。

なぜステテコがこれほどまでに推奨されるのか、その理由は「汗対策」と「裾さばき」の2点に集約されます。着物を着て歩くと、太もも同士が擦れ合ったり、汗で着物が脚にまとわりついたりして、非常に歩きにくくなることがあります。ステテコを履くことで、皮膚と着物の間に一枚の層ができ、これが汗を素早く吸収拡散してくれるため、ベタつきを防いでくれます。さらに、滑りの良い素材のものを選べば、摩擦が減って足運びがスムーズになり、着崩れの防止にもつながるのです。

素材選びも重要です。季節や目的に合わせて使い分けることで、快適度はさらに上がります。

また、和装専用のステテコは、帯を締める位置を避けて履けるよう、股上が浅い「ローライズ」気味に設計されているものが多いのも特徴です。これにより、お腹周りのゴロつきや圧迫感を最小限に抑えることができます。最初は少し違和感があるかもしれませんが、一度履くと「これなしでは着物が着られない」と感じるほど快適なアイテムですので、ぜひ一着は持っておくことを強くおすすめします。

ユニクロのエアリズムや代用品を活用する技

「これから着物を始めるのに、いきなり数千円もする専用のステテコを買うのはちょっと…」と躊躇してしまう方も多いと思います。そんな時に頼りになるのが、私たちの生活に身近なユニクロなどの量販店で手に入るアイテムです。実は、着物ベテラン勢の中にも、高価な和装下着ではなくユニクロ製品を愛用している人はたくさんいます。

特に最強の代用品として名高いのが、「エアリズムステテコ（前開き）」です。このアイテムが着物に向いている理由はいくつかあります。まず、生地が非常に薄く、表面がつるつるしているため、着物の裾が引っかかりにくく、専用の裾よけに近い機能を果たします。そして、ご存知の通り吸汗速乾性に優れているため、帯の下でかいた汗を素早く逃し、蒸れを防いでくれます。

選び方には少しコツがあります。まず、必ず「前開きタイプ」を選ぶこと。これがなければトイレで絶望することになります。サイズに関しては、ピタッとしすぎると窮屈ですが、あまりにダボダボだと着物のシルエットに響くため、いつものサイズか、締め付けが苦手ならワンサイズ上を選んで紐を緩めに結ぶのが良いでしょう。最近では「メッシュタイプ」や「シームレスタイプ」も出ていますが、耐久性と滑りの良さのバランスを考えると、通常のエアリズム素材が最も使い勝手が良いと感じます。

このように、専用品でなくても、機能性を理解して代用品を選べば、低コストで十分に快適な着物環境を整えることが可能です。まずは手持ちのアイテムや、近くの店舗で手に入るものから始めてみてはいかがでしょうか。

夏の浴衣で透ける問題と蒸れへの対策

夏の花火大会や縁日などで浴衣を着る際、男性が意外と見落としがちなのが「透け」と「蒸れ」の問題です。最近量販店などでセット販売されている安価な浴衣は、涼しさを重視するために生地が薄く作られていることが多く、光の加減によっては中が透けて見えることがあります。特に白地、生成り、薄いグレーなどの浴衣を着る場合、下に履いているパンツの色や柄が丸見えになってしまうのは避けたいところです。

透け対策の基本は、インナーの色選びにあります。派手な柄のトランクスや、コントラストの強い黒のボクサーパンツは避けましょう。「黒なら透けない」と思いがちですが、白地の浴衣の下に黒を履くと、その濃淡がはっきりと浮き出てしまいます。最も透けにくいのは、ベージュ、モカ、カーキといった「肌の色に近い色」です。

また、色選びは「暑さ対策」とも密接に関係しています。国立環境研究所の研究によると、真夏の炎天下において、衣服の色によって表面温度には大きな差が生じることが分かっています。白のポロシャツに比べて、黒や深緑のポロシャツは表面温度が15度以上も高くなるというデータがあります。

（出典：国立環境研究所『暑熱リスクと色彩選択』）

これは浴衣のインナー選びにも応用できます。透け防止のために濃い色のステテコを履くと、太陽光を吸収して熱を持ちやすくなる可能性があるのです。そのため、涼しさを優先するなら「淡い色の浴衣にはベージュのインナー」が、透け防止と遮熱のバランスが取れた最適解と言えるでしょう。

蒸れ対策としては、やはりステテコを一枚挟むことが鉄則です。「暑いのに重ね着するの？」と思われるかもしれませんが、素肌に直接浴衣を着ると、汗で生地が肌に張り付き、風通しが悪くなって余計に暑く感じます。ステテコが汗を吸い取り、空気の通り道を確保してくれるおかげで、結果的に体感温度は下がります。夏こそ、機能性インナーの力を借りて、涼しい顔で浴衣を着こなしましょう。

着物でパンツを履かない男のための実用術

着物生活を始めようとする男性にとって、最も高い心理的・物理的ハードルとなるのが「トイレ」です。「着崩れしたら元に戻せない」「裾を汚したら大変だ」という不安から、着物を着ている間は水分補給を極端に控えてしまう人もいるほどです。しかし、正しい手順とちょっとしたコツさえ知っていれば、恐れることはありません。ここでは、いざという時に慌てないための具体的なトイレの手順や、外出時のスマートな所作について徹底解説します。

男性の着物における基本的なトイレの仕方

まず、袴を履いていない「着流し（着物と帯のみ）」スタイルの場合から解説します。この場合、構造的にはロングコートを着ているのと同じような状態ですので、トイレはそれほど難しくありません。

【小（Urination）の場合の手順】

1. 便器の前に立ち、足を肩幅程度に開きます。
2. 着物と長襦袢の上前（左側の布）を右手で持ち、右側へ大きく開きます。
3. 続いて、下前（右側の布）を左手で持ち、左側へ開きます。これで前が大きく開いた状態になります。
4. 着物が落ちてこないように、開いた裾を両手でしっかりと骨盤あたりで押さえるか、顎で挟んで固定します。もし「着物クリップ（大きな洗濯バサミでも代用可）」を持っていれば、開いた裾を帯に留めておくと両手が空いて非常に楽になります。
5. 前開きのステテコやパンツの窓から取り出し、用を足します。
6. 終了後は逆の手順で裾を戻し、最後に帯の下やおはしょりのシワを軽く引っ張って整えます。

【大（Defecation）の場合の手順】

個室に入り、以下の手順で行います。最大のポイントは「裾の固定」です。

1. 着物、長襦袢の裾（左右すべて）をまとめて持ち、一気に腰の高さまでまくり上げます。
2. まくり上げた裾の両端を、帯の上から背中側にぐっと挟み込みます。これが甘いと、用を足している最中に裾がパラリと落ちてきて悲劇が起きます。親指を使って、帯と背中の間にしっかりと押し込んでください。
3. 裾が落ちてこないことを確認してから、パンツやステテコを一気に下ろして便座に座ります。
4. このとき、着物の長い袖（袂）が床についたり、便器の中に入ったりしないよう、必ず膝の上にまとめて置いておきましょう。
5. 終了後は、下着を上げてから裾を慎重に下ろし、鏡で後ろ姿（お尻の部分）がめくれ上がっていないか確認します。

難易度の高い袴着用時のトイレ攻略法

問題は、結婚式、成人式、あるいは武道などで着用する袴（はかま）の場合です。袴にはスカート状の「行灯袴（あんどんばかま）」と、ズボン状の「馬乗袴（うまのりばかま）」がありますが、特に男性用の正式な袴である馬乗袴の場合、中は二股に分かれており、裾から手を入れて用を足すことが物理的に極めて困難です。

「小」の場合、袴の脇にある「投げ」と呼ばれる隙間から手を入れ、着物の前をはだけさせて行う猛者もいますが、これは着物や長襦袢、袴の位置関係が複雑で、失敗して袴を汚すリスクが非常に高いです。初心者の方は、無理をせず個室に入って座ってするのが最も安全で確実な策です。

袴でトイレに行く可能性がある場合は、あらかじめYouTubeなどで「袴の紐の結び方」を予習しておくか、スマホで結び方の画像を見られるようにしておくことを強くおすすめします。紐がぐちゃぐちゃだと、せっかくの袴姿が台無しになってしまいます。

階段や強風で裾がめくれて見えるのを防ぐ

「履かない」あるいは際どい下着をつけている場合、階段や強風は天敵です。無防備に歩いていると、裾が割れて太ももや下着、最悪の場合は生足が他人に見えてしまう「チラリズム」事故が発生します。自分は気にならなくても、周りの人を驚かせてしまう可能性があるため、紳士的なマナーとして露出防止策を身につけておきましょう。

【階段の対策】
階段を上るとき、裾を踏まないように持ち上げる必要がありますが、ガバッと持ち上げすぎると後ろの人に中身が丸見えになります。対策としては、真正面を向いて上るのではなく、体を少し斜めに向けて「カニ歩き」のように上るのが有効です。こうすると、着物の合わせ目が正面に来ないため、裾が割れにくくなります。また、右手で上前（右太もものあたりの布の端）を軽くつまんで、数センチだけ持ち上げるようにすると、上品かつ安全に移動できます。

【強風の対策】
ビル風や突風が吹いてきたら、反射的に右手で上前（右太ももの前）を上から押さえる癖をつけましょう。これが基本の防御姿勢です。また、歩く方向も重要です。可能であれば、風上に向かって歩くようにすると、風圧で着物が体に張り付き、めくれるのを防げます。逆に風下に向かって歩くと、後ろから風を受けて着物が前方に広がり、マリリン・モンローのような状態（いわゆるスカートめくり状態）になってしまうので、風向きには常に注意を払いましょう。

冬の防寒対策に使えるタイツやスパッツ

男性の着物は、女性の着物と違って「身八つ口（脇の開いた部分）」や袖口、裾が大きく開放されており、煙突効果で空気が通り抜ける構造になっています。これは夏には涼しくて良いのですが、冬場は容赦なく冷気が入り込み、想像以上に体が冷えます。「履かない」スタイルでは、真冬の寒さに耐えることはまず不可能です。

冬の防寒対策としては、ステテコの代わりに足首まであるスパッツ、レギンス、股引（ももひき）を着用するのがおすすめです。ユニクロのヒートテックなどの発熱素材も非常に有効ですが、一つだけ注意点があります。それは「静電気」です。ポリエステルなどの化学繊維のタイツと、ポリエステルの着物や長襦袢が擦れ合うと、強力な静電気が発生し、裾が足にまとわりついて歩きにくくなることがあります。

さらに、「首・手首・足首」の「3つの首」を温めるのが防寒の基本です。足元の冷えには、内側が起毛素材になっている「ネル足袋（別珍足袋）」が最強の味方です。もしそれでも寒い場合は、薄手の5本指ソックスを履いた上から足袋を履く「重ね履き」も効果的です。見えない部分でしっかりと防寒し、冬の着物ライフを楽しみましょう。

着物でパンツを履かない男の最適解まとめ

着物における下着選びに、絶対の正解はありませんが、現代の実用性とマナーを考えると「いつものパンツ＋和装用（または代用）ステテコ」の組み合わせが最もバランスの良い選択肢と言えます。最後に、シーン別の最適解をまとめますので、自分に合ったスタイルを見つけてください。

「着物 パンツ 履かない 男」で検索したあなたの疑問は解消されたでしょうか。歴史的な「履かない」スタイルを知識として尊重しつつも、現代のテクノロジーや便利なアイテムを賢く取り入れて、快適で粋な着物ライフを楽しんでください。最初は失敗することもあるかもしれませんが、それもまた着物の奥深さを知る良い経験になるはずです。