メンズコスメケア図鑑 運営者のシライヒロです。
友人の結婚式への招待状が届くと、「どんな服装で行こうかな?」とワクワクする反面、少し悩みますよね。最近は「せっかくの晴れ舞台だし、着物(和装)でビシッと決めてお祝いしたい!」と考える男性が非常に増えています。日本人として、伝統的な衣装で友人の門出を祝うなんて、本当に素敵なことだと思います。
でも、同時にこんな不安が頭をよぎりませんか?
「男が友人の結婚式で着物を着るなんて、目立ちすぎて迷惑じゃないかな?」
「マナー違反をして、新郎新婦や親族の方に恥をかかせてしまったらどうしよう…」
「そもそも、どんな着物を選べばいいのか全くわからない…」
実は私も以前、大学時代の友人の結婚式で初めて着物を着ようとしたとき、同じような不安でいっぱいでした。ネットで調べても情報が少なかったり、専門用語が難しかったりで…。
しかし、結論から言えば、正しいマナーさえ守れば、友人の着物姿は最高のお祝いになります。
この記事では、私が実際に経験し、徹底的に調べ上げた「結婚式における男性着物のマナーとノウハウ」を、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。これを読めば、自信を持って当日を迎えられるはずです。
- 友人が着物を着ても「迷惑」と言われないための絶対条件
- 恥をかかないための「格(ランク)」と絶対に選んではいけないNG着物
- レンタルと購入のリアルな相場や、手配から返却までの段取り
- 当日のトイレや着崩れ、食事中の振る舞いなど、実践的な対策
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友人の結婚式で着物を着る男の必須マナー

まずは、最も重要な「マナー」の部分から深掘りしていきましょう。着物はただのファッションではなく、相手への「敬意」を表す衣装です。ここを理解していないと、どんなに高価な着物を着ていても「マナー知らず」と思われてしまいます。
友人の着物は迷惑?参列者の本音
「友人が着物で来るのは迷惑か?」という問いに対して、答えは明確に「NO(迷惑ではない)」です。
むしろ、多くの新郎新婦やそのご親族は、着物での参列を非常に喜んでくれます。なぜなら、ゲストが着物を着てくれることで、会場全体に「格式」と「華やかさ」が生まれるからです。黒いスーツばかりの男性ゲスト集団の中で、凛とした和装の男性がいると、それだけで「きちんとした式」という印象が強まりますし、集合写真もパッと明るくなりますよね。
実際に、私が着物で参列した際も、新郎のお母様から「今日はわざわざ着物を着てきてくれてありがとうね。息子も鼻が高いと思うわ」と声をかけていただきました。これは本当に嬉しかったですね。
ただし、これには絶対に守らなければならない「鉄の掟」があります。それは、「主役である新郎よりも目立たないこと」です。
結婚式の主役は、あくまで新郎新婦です。ゲストの役割は、その主役を引き立て、祝福することにあります。洋装で例えるなら、女性ゲストが花嫁と同じ「白いドレス」を着てはいけないのと同じように、和装にも「主役の領域」を侵してはいけないラインが存在します。
「目立つ」というのは、単に物理的に目に入るという意味ではありません。「格(ランク)」や「色使い」において、新郎と同等、あるいはそれ以上に派手な装いをしてしまうことを指します。ここを履き違えて、「俺が一番おしゃれに目立ってやる!」という自我を出してしまうと、それは「迷惑」な行為になってしまいます。
周囲から「素敵なお祝いの仕方だね」と思われるか、「空気の読めない目立ちたがり屋」と思われるかは、この「引き算の美学」を理解しているかどうかにかかっています。
- 新郎を立てる「控えめな色と柄」を選ぶこと
- 着付けや所作を美しく保ち、清潔感を出すこと
- 「主役を祝うために正装してきた」という気持ちを行動で示すこと
恥をかかない着物の格と選び方
着物には、洋服以上に厳格な「格(Kaku)」というヒエラルキー(序列)が存在します。これを無視することは、フォーマルな場では致命的なマナー違反となります。「知らなかった」では済まされない部分ですので、しっかりと押さえておきましょう。
男性の着物の格を決める要素は、主に「紋(家紋)の数」と「素材」の2点です。紋の数が多いほど格が高くなり、素材は「染め」の着物が「織り」の着物より格上とされるのが一般的ですが、男性の場合は少し特殊な部分もあります。
以下の表に、結婚式における着物の種類と、友人ゲストとしての適性をまとめました。
| 種類・名称 | 格(ランク) | 紋の数 | 友人の着用可否 |
|---|---|---|---|
| 黒紋付羽織袴 (くろもんつきはおりはかま) |
第一礼装 | 五つ紋 | 絶対にNG (新郎の衣装) |
| 色紋付羽織袴 (いろもんつきはおりはかま) |
準礼装 略礼装 |
三つ紋 または 一つ紋 |
最適・推奨 (最も一般的) |
| 御召(おめし) (紋付+袴) |
略礼装 | 一つ紋 | 可 (おしゃれな印象) |
| 紬(つむぎ) (無地+袴) |
おしゃれ着 〜略礼装 |
一つ紋 または無紋 |
条件付きで可 (カジュアルな式や二次会向き) |
結論として、友人ゲストが選ぶべき「正解」は、「色紋付(いろもんつき)」で、紋の数が「三つ紋」か「一つ紋」のものです。
「紋」とは、背中や袖に入っている家紋のことです。「五つ紋(いつつもん)」は背中・両袖・両胸の5箇所に入り、最も格が高くなりますが、これは新郎や両家の父親のものです。友人はそこから少し格を下げて、背中と両袖の3箇所(三つ紋)、あるいは背中の1箇所(一つ紋)に留めることで、「私は主役を立てる立場の人間です」という謙虚さと礼節を表現するのです。
素材に関しては、一般的に「羽二重(はぶたえ)」や「ちりめん」といった、光沢があり滑らかな生地がフォーマルとされています。「御召(おめし)」も徳川将軍家が好んだとされる格の高い織物なので、一つ紋を入れれば問題なく着用できます。
一方で、「紬(つむぎ)」などの節(フシ)がある素材は、本来はカジュアルな普段着(ジーンズのような位置付け)です。最近では無地の高級な紬に袴を合わせて略礼装とすることもありますが、格式高いホテルウェディングや厳格な神前式では避けた方が無難でしょう。「迷ったらツルッとした素材の色紋付」を選べば間違いありません。
黒紋付はNG?友人にふさわしい色
「着物といえば黒でしょ?かっこいいし!」と思ってしまう気持ち、とてもよくわかります。しかし、結婚式において友人ゲストが「黒紋付羽織袴(特に五つ紋)」を着ることは最大のタブーであり、絶対に避けるべきNG行為です。
なぜなら、黒紋付羽織袴(五つ紋)は、和装における「第一礼装」であり、結婚式では「新郎」および「新郎新婦の父親」「仲人」だけが着用を許される特権的な衣装だからです。
もし友人がこれを着て会場に行ったらどうなるでしょうか?
遠目に見たら新郎と見分けがつかず、新郎が入場してきた時のインパクトを奪ってしまいます。また、親族席に座っているお父様たちと同格の衣装を着て、友人席で談笑している姿は、日本の礼法を知る人から見れば非常に奇妙で、失礼な光景に映ってしまいます。
「でも、レンタルのカタログに黒っぽい着物があったよ?」と思う方もいるかもしれません。実は、真っ黒ではなく、非常に濃い紺色や、地紋(生地の織り模様)が入った黒に近い色なら「色紋付」として扱われる場合もあります。しかし、紛らわしいことには変わりないので、初心者は避けるのが賢明です。
では、友人にふさわしい色はどんな色でしょうか?
おすすめは、以下のような「落ち着いた色味(ダークトーン)」です。
- 紺・ネイビー:最も人気があり、知的で清潔感のある印象を与えます。誰にでも似合いやすく、ハズレがありません。
- グレー・シルバーグレー:上品で洗練された印象。明るめのグレーなら華やかさも出せます。
- 深緑・モスグリーン:落ち着きがあり、大人の色気を感じさせる色です。
- 焦げ茶・ブラウン:シックでモダンな雰囲気になります。
逆に、真っ白(新郎とかぶる)、ピンクや水色などのパステルカラー、金ピカの派手な柄物は、成人式や舞台衣装のようになってしまうので避けましょう。「あくまでシックに、大人の余裕を見せる」のが、かっこいい着こなしのコツですね。
「自分の家の家紋なんて知らないし、レンタルじゃ選べないよ」と心配する必要はありません。レンタルの着物には、一般的に誰が使っても問題ない「通紋(とおりもん)」と呼ばれる紋(「丸に違い鷹の羽」など)が入っています。自分の家紋と違っていても、マナー違反にはなりませんので安心してください。
袴なしの着流しがマナー違反な理由
「袴(はかま)ってお腹が苦しそうだし、トイレも面倒くさそう…。着物と羽織だけで、サラッと着て行っちゃダメなの?」
このような、いわゆる「着流し(きながし)」スタイルについての質問もよく見かけます。しかし、断言します。
結婚式参列において、袴を着用しない「着流し」は完全なマナー違反です。
着物における「袴」は、洋装における「ズボン」ではありません。むしろ、スーツの「ジャケット+スラックス」が揃って初めて正装になるのと同じで、男性の和装礼装は「着物+羽織+袴」の3点セットが揃って初めて完成します。
袴を穿かない着流しスタイルは、あくまで「部屋着」や「近所へのちょっとした外出着」、あるいは落語家さんの高座着のようなものです。どれほど高級な大島紬の着物を着ていたとしても、袴がなければそれは「普段着」であり、結婚式という儀式の場にはふさわしくありません。
「ちょっとくらい崩してもいいだろう」という甘えは、新郎新婦に対する「お祝いの気持ちの軽視」と受け取られかねません。フォーマルな場では、必ず袴を着用し、腰回りをガッチリと固めることで、「私は今日、あなたのために礼を尽くして参りました」という姿勢を表現しましょう。
袴を穿くと、自然と歩幅が制限され、ドシッとした重心の低い歩き方になります。この身体感覚の変化こそが、和装ならではの「威厳」や「男らしさ」を演出してくれるんです。ぜひ、袴ならではの着心地を楽しんでください。
足袋や草履など足元の重要マナー
「おしゃれは足元から」という言葉は、洋服以上に着物の世界で重要視されます。着物自体がバッチリ決まっていても、足元のマナーが間違っていると、全てが台無しになってしまうほどです。
まず、足袋(たび)についてですが、これはもう迷う余地はありません。
結婚式では必ず「白足袋(しろたび)」を着用してください。
最近は、黒や紺、柄物の足袋も多く販売されていますが、これらはすべて「カジュアル」または「平服」扱いです。特に黒足袋は、昔は大工さんなどの職人さんが仕事で履くものというイメージもありました。結婚式という「ハレの日」においては、汚れのない清浄さを表す「白」を身につけるのが絶対のルールです。留め具(こはぜ)の枚数は、4枚でも5枚でも問題ありませんが、礼装用として売られているものは5枚こはぜが多いですね。
次に草履(ぞうり)ですが、これも「礼装用」を選びます。基本的には「雪駄(せった)」と呼ばれる形状のものが一般的です。
表面が畳(たたみ)のような網目状になっているもの(ビニール製の畳表風が多いです)で、鼻緒の色は「白」または「グレー」などの淡い色が正装用です。鼻緒が黒や蛇柄などのものはカジュアルすぎるので避けます。
「ブーツを合わせちゃダメ?」という疑問もあるかもしれません。坂本龍馬スタイルのような「紋付袴×ブーツ」は、成人式や卒業式では人気のモダンなコーディネートですが、結婚式というフォーマルな場では、年配の方から「奇抜だ」「マナーを知らない」と眉をひそめられるリスクが高いです。特に格式高いホテルや神社での挙式なら、伝統的な白足袋と草履を選ぶのが、間違いのない大人の選択です。
足袋は靴下のように伸縮性がありません。普段の靴のサイズと同じものを選ぶと、親指が痛くなったり、逆にかかとが余ってシワシワになったりします。可能であれば、足の実寸を測り、0.5cm刻みでサイズを選べるショップで慎重に選びましょう。ブカブカの足袋は非常に見栄えが悪いです。
友人男性の結婚式で着物を手配する手順

マナーの部分をしっかり理解できたら、次は実践編です。「どこで借りるの?」「いくらかかるの?」といった疑問を解消し、スムーズに当日を迎えるための具体的な手順を解説します。
レンタルと購入の相場を徹底比較
着物を手配する方法は大きく分けて「レンタル」と「購入」の2つがありますが、友人ゲストとして参列する場合、私は圧倒的に「ネットレンタル」をおすすめします。
それぞれの相場とメリット・デメリットを比較してみましょう。
1. ネットレンタル(おすすめ!)
- 相場:15,000円 〜 25,000円程度
- セット内容:着物、羽織、袴、長襦袢、帯、羽織紐、草履、足袋、腰紐などの小物一式(フルセットが基本)
- メリット:
- コストパフォーマンスが最高。
- プロが選んだ「格」の合ったコーディネートがパッケージされているので失敗がない。
- 使用後のクリーニングが不要で、コンビニから返却するだけでOK。
- 保管場所やメンテナンス(虫干しなど)の心配がない。
- デメリット:試着ができない場合が多く、サイズ選び(特に裄丈と袴下寸法)に注意が必要。
2. 実店舗でのレンタル
- 相場:30,000円 〜 50,000円程度
- メリット:実際に羽織って顔映りを確認でき、プロのスタッフにサイズを測ってもらえる安心感がある。
- デメリット:ネットに比べて割高で、店に行く手間がかかる。
3. 購入(ポリエステル・化繊)
- 相場:40,000円 〜 60,000円(フルセットの場合)
- メリット:自分のものになるので、お正月や初詣など何度でも着られる。自宅の洗濯機で洗えるものが多い。
- デメリット:安価なものは特有の「テカリ」があり、照明の強い結婚式場ではチープに見えるリスクがある。小物(草履や紐類)を全て自分で揃えるのが大変。
4. 購入(正絹・シルク)
- 相場:20万円 〜 数十万円(上限なし)
- メリット:圧倒的な質感と着心地の良さ。一生モノになる。
- デメリット:高額すぎる。保管や手入れが大変。
年に1回着るかどうかわからない着物に、数万円〜数十万円の投資をするのは、かなりハードルが高いですよね。ネットレンタルなら、保管の手間もなく、毎回違う色の着物を楽しむこともできます。「今回はシックに紺色で」「次は季節に合わせて茶色で」といった楽しみ方ができるのも、レンタルの大きな魅力かなと思います。
夏の結婚式でも和装は可能か
「7月や8月の真夏の結婚式に招待されたんだけど、着物って暑くないの?着ていってもいいの?」
これ、非常に悩ましい問題ですよね。結論から言うと、夏の結婚式で和装をすることはマナー上は問題ありませんが、現実的にはかなり厳しい戦いになります。
着物には「衣替え」のルールがあります。
- 10月〜5月:袷(あわせ)/裏地のある着物。これが標準。
- 6月・9月:単衣(ひとえ)/裏地のない着物。
- 7月・8月:薄物(うすもの)/「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」などの透け感のある素材。
真夏に着物を着るなら、本来は「絽」や「紗」の着物と羽織、そして夏用の袴を選ばなければなりません。しかし、ここには大きな落とし穴があります。それは、男性用の夏物(絽・紗)のレンタル在庫が極端に少ないということです。
多くのレンタルショップは、需要の多い「袷(秋冬春用)」を中心に揃えています。そのため、夏用のきちんとした紋付袴を見つけるのは至難の業です。「じゃあ、普通の冬物を着ていけばいいか」と考えるのは危険です。見た目にも暑苦しく、見ているゲストにまで暑さを伝染させてしまいますし、何より本人が熱中症になるリスクがあります。男性の着物は帯でお腹周りを締め付けるため、熱がこもりやすいんです。
もし夏用の着物が見つからない場合は、無理をせずに洋装(サマースーツなど)を選ぶ勇気を持つことも、大人のマナーと言えます。「どうしても着たい!」という場合は、早春の段階から夏物の在庫を確保するか、式場内の空調が効いていることを確認した上で、移動中の暑さ対策(保冷剤やタクシー移動など)を万全にする必要があります。
最近は温暖化の影響で9月でもかなり暑い日があります。環境省の熱中症予防情報サイトなどで当日の暑さ指数を確認し、無理のない判断をしてくださいね。
着崩れ防止とトイレの作法を解説
着物初心者が最も恐れるのが、「トイレどうするの?」問題と、「着崩れたらどうしよう」問題です。ここをクリアにしておかないと、式の間中ソワソワして楽しめません。具体的なテクニックを伝授します。
トイレの作法:袴はこう捌く!
袴には、スカート状の「行灯袴(あんどんばかま)」と、ズボン状(キュロット)の「馬乗り袴(うまのりばかま)」がありますが、レンタルの多くは「馬乗り袴」です。
【トイレの手順】
- 袖(そで)の処理:長い袖が邪魔になるので、両袖を体の前で結んでしまうか、袖の両端を帯と袴の隙間に挟み込みます。クリップ(洗濯バサミでも可)を持参して、首の後ろで留めてしまうのが一番楽です。
- 袴の持ち上げ:袴の裾(すそ)を左右それぞれの手で持ち、思い切り上までまくり上げます。落ちてこないように、裾の端を帯に挟み込みます。
- 着物と長襦袢の持ち上げ:その下の着物と長襦袢(下着の着物)も同様にまくり上げます。
- 用を足す:この状態で用を足します。洋式トイレの個室に入って座って済ませるのが、飛び跳ね汚れのリスクもなく、焦らずに済むので確実です。
- 元に戻す:逆の手順で下ろしていきます。最後に、袴の前後を確認し、シワを伸ばします。
ポイントは、「焦らないこと」と「個室を使うこと」です。ギリギリまで我慢せず、余裕を持ってトイレに行くようにしましょう。
着物でしゃがむ男の正解!股割れ防止とトイレや座り方完全ガイド – メンズコスメケア図鑑
着崩れの直し方
長時間座ったり立ったりしていると、どうしても着崩れてきます。
- 帯が下がってきた:袴の脇から手を入れ、帯の下を持ってグッと持ち上げます。同時に袴の紐も締め直せればベストです。
- 衿元(えりもと)が詰まってきた・開いてきた:袴の脇から手を入れ、長襦袢と着物の衿先(下の方)を引っ張って調整します。
- 背中がたるんできた:後ろのお尻の方の着物を下に引っ張り、たるみを取ります。
椅子に座る際、袴の後ろ側が引っ張られて帯が下がりやすいです。座る瞬間に、袴の左右の脇から少し手を入れて、後ろ側の余裕を持たせてから腰を下ろすと、着崩れにくくなりますよ。
美容室での着付け予約と準備リスト
「着付けなんてYouTube見れば自分でできるでしょ?」と思っている方、ちょっと待ってください。
確かに男性の着付けは女性に比べればシンプルです。しかし、結婚式は何時間もの長丁場。立ったり座ったり、食事をしたりしても「絶対に崩れない」かつ「苦しくない」着付けをするには、プロの技術が必要です。帯の結び目の美しさや、袴の紐の処理など、素人が見よう見まねでやると、だらしなくなりがちです。
友人の結婚式という大切な場で、帯が緩んで袴がずり落ちてきたら…想像するだけで恐ろしいですよね。必ずプロに着付けを依頼しましょう。
美容室探しの注意点
ここで注意が必要なのは、「全ての美容室が着付けに対応しているわけではない」し、「着付け対応店でも、男性の袴はやっていない場合がある」ということです。
予約の電話をする際は、必ず以下の点を確認してください。
- 「男性の紋付袴(もんつきはかま)の着付けは可能ですか?」
- 「結婚式参列なので、しっかりとした着付けをお願いしたいです」
- 「早朝料金はかかりますか?」(式の時間が早い場合)
- 「ヘアセットも一緒にお願いできますか?」
式場提携の美容室にお願いするのが一番楽ですが、予約がいっぱいの場合もあります。会場近くの美容室や、宿泊するホテルへの「出張着付けサービス」などを利用するのも手です。
当日の準備リストと服装
レンタルフルセットを借りていても、自分で用意しなければならないものがあります。
- フェイスタオル 2〜3枚:補正用(お腹周りに巻いて寸胴にするため)に使います。薄手のものがベストです。
- 肌着(Vネックシャツ):着物の下に着ます。首元からシャツが見えるとダサいので、深めのVネックかUネックを選びましょう。色は白かベージュ。ヒートテックなどは冬場はいいですが、意外と暑くなるので注意。
- ステテコ(またはスパッツ):裾捌きを良くし、汗取りや防寒のために穿きます。膝下くらいの丈のものがおすすめです。
また、着付けに行く際は、「前開きの服(シャツやパーカー)」を着ていきましょう。被りの服(Tシャツなど)だと、ヘアセットをした後に脱げなかったり、せっかくのセットが崩れたりしてしまいます。
結婚式で着物を楽しむ友人男性の心得
ここまで、マナーや手配について詳しく解説してきましたが、最後に一番大切なことをお伝えします。
それは、「堂々と、自信を持って着ること」です。
着物は、着る人の心を整えてくれる不思議な衣服です。帯を締めると自然と背筋が伸び、腹に力が入ります。その凛とした立ち姿、美しい所作こそが、新郎新婦への最大のお祝いになります。
会場に着いたら、扇子(末広)は手に持つか、帯の左側に少しのぞかせて挿しておきます。決してパタパタとあおいではいけません。これは儀式用の「刀」のような意味合いを持つ小物だからです。
乾杯の時、集合写真の時、友人のスピーチを聞いている時。和装のあなたが背筋を伸ばしてそこにいるだけで、その場の空気は間違いなく格調高いものになります。「あいつ、今日のために気合入れて着てきてくれたんだな」「なんか頼もしいな」と、友人たちも見直してくれるはずです。
洋装の友人が多い中で、和装を選ぶことは少し勇気がいるかもしれません。でも、その勇気は必ず「やってよかった」という喜びに変わります。ぜひ、日本人ならではの素晴らしい正装で、友人の晴れの日を華やかに彩ってあげてください。
あなたの着物姿が、友人にとっても、あなた自身にとっても、忘れられない最高の思い出になることを願っています。

